研究助成採択(栢森情報科学振興財団)

(公財)栢森情報科学振興財団の2020年度研究助成に藤波が代表をつとめる“鶏の住環境の快適性向上に向けた動物行動学的分析を支援する鶏行動の認識システム”の研究課題が採択されました.2019年度より農学部と共同で実施している鶏の行動認識について,研究者のツールとして使えるようなものを目指していきます.

対外発表(UBI67)

M1の宅野君が情報処理学会UBI研究会第67回発表会において,以下のタイトルの研究発表を行いました.本発発表は5月の第66回発表会で発表したものうち,慣性センサによる行動認識機能について個体数を8羽に,認識対象行動も26種(うち11種は重要ではないものの頻繁に見られた行動で「その他」と集約可能なもの)に増やした場合の分類器(特徴量選定も含む)の実現方法についてのものです.

  • 宅野亮,佐藤逸史,新村毅,藤波香織; “鶏の快適性向上に向けた動物行動学的分析を支援するための装着型センサによる行動推定”,情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会 第67回研究発表会(UBI67),情報処理学会研究報告Vol. 2020-UBI-67 No. 15, 2020年9月.

論文採択(Sensors and Materials 2件)

本研究室からの論文2篇が論文誌(Sensors and Materials)に採録され,オンラインで公開されました.

  • Miki Kawato and Kaori Fujinami; “Acoustic-sensing-based Gesture Recognition Using Hierarchical Classifier”, Sensors and Materials, Vol. 32, No. 9, pp. 2981-2998, 2020. [link]
  • Trang Thuy Vu and Kaori Fujinami; “Personalizing Activity Recognition Models by Selecting Compatible Classifiers with a Little Help from the User”, Sensors and Materials, Vol. 32, No. 9, pp. 2999-3017, 2020. [link]

最初の川戸君(2020年3月博士前期課程修了)の論文は,机の上を指でなぞったときの音で0から9の数字,×,□,△,✓,R,m,・の17文字を識別するためのデバイスとデータ処理方法について考案したものです.認識方法は,従来からあるfeature engineering方式とニューラルネットワークによるfeature learning方式を比較し,さらに認識器の構成も2段階構成と1段階構成を比較しました.その結果,2段階構成のfeature engineering方式を用いることでも最良の0.854の精度(F値)を達成し,近年浸透著しいニューラルネットワークベースの手法が必ずしもベストではないことを示しました.行動認識のようなラベル付きデータを大量に得ることが困難な環境では,注意深く設計した特徴量を用いるfeature engineering方式が良いことが示唆されます.

音ジェスチャ入力デバイス
階層的分類器

2番目のVu(社会人博士3年)さんの論文は,スマホなど個人が携帯するデバイス上で行動認識を行う際に,一番最初に利用者から行動データを提供してもらい,既存の分類器の中から相性が良いものを選んで利用することで高精度な分類を実現するという本研究室で提案するCompatibility-based Classifier Personalizationと呼ぶ手法に関するものです.昨年発表した下記の論文では,最初に対象とする全ての行動のデータを提供してもらうことを前提としていましたが,種類が多いと利用者の負担が増大することが課題でした.今回発表した論文では,事前にハイパーパーパラメータチューニングの要領で収集すべき行動群を絞り込むことで,50%から70%程度の負担で済むことを示しました.

  • Trang Thuy Vu and Kaori Fujinami; “Understanding Compatibility-based Classifier Personalization in Activity Recognition”, In Proceedings of the 1st International Conference on Activity and Behavior Computing (ABC2019), pp. 97-102, May 2019.
  • Trang Thuy Vu and Kaori Fujinami; “Examining Hierarchy and Granularity of Classifiers in Compatibility-based Classifier Personalization”, In Proceedings of the 2019 IEEE 8th Global Conference on Consumer Electronics (GCCE 2019), pp. 553-554, 16 October, 2019.
Compatibility-based Classifier Personalization (CbCP)の概念図

対外発表・受賞(FIT2020)

M2の柴山さんが下記の論文を第19回情報科学技術フォーラム(FIT2020)で発表し,FIT奨励賞を受賞しました.

  1. 柴山咲希,藤波香織; “プロジェクタを用いた図形トレース支援におけるハンドオクルージョンの対処法”,第19回情報科学技術フォーラム(FIT2020),発表M-003,第4分冊 p.81-86, 2020年9月1日.
実験環境
支援方法

この研究ではプロジェクタを通じてトレース作業を支援する際に手により投影情報が隠れてしまうというハンドオクルージョン問題への対処(ハンドオクルージョン管理)を目的としています.実際の作業場所からやや離れた場所への見本投影や,トレースからのズレや変点の音による通知や,そのハイブリッド型などを提案し,ユーザ評価によりそれらを比較評価しました.

その結果,複雑な図形では提案した管理方法を用いたいずれの場合においても作業時間が延びることが判明しました.単純な図形は一部の図形においてハイブリッド方式のみ作業時間が延びることが確認されました.また,記憶で補完できない図形は提案した管理方法を用いたいずれの場合においてもトレース精度が向上することが判明しました.両実験ともに視覚と聴覚を組み合わせたハイブリッド方式がユーザに多く好まれることが確認されました.単純な図形やなじみのある図形ではユーザは視覚支援をあまり利用せずに作業し,なじみがない図形の場合は視覚支援を利用することが判明しました.

対外発表(ABC2020)

M2の齋藤君が下記のタイトルでInternational Conference on Activity and Behavior Computing (ABC)で発表を行いました.

  • Mitsuaki Saito and Kaori Fujinami. “Evaluation of New Class Candidate Generation Methods in On-Body Smartphone Localization Problem”, in International Conference on Activity and Behavior Computing (ABC2020), August 28, 2020.
携帯端末の使用場所の逐次追加フレームワーク

システムが未学習の携帯機器の所持位置をユーザが利用している最中に検出して,認識対象に追加するフレームワークを研究中です,これまで上の図のAについて新規性検出(Novelty Detection)技術を使う方法,とくにアンサンブル型の検出器の利用を提案してきましたが,本発表ではその先のD(異常サンプル除外), E(次元削減), F(クラスタリング)の実現方法を検証しました.特にクラスタリングについてはクラスタ数を決定する方法を検討しました.

対外発表(UBI66)

M1の宅野君が下記のタイトルで情報処理学会UBI研究会第66回研究発表会で発表を行いました.本来は2020年3月開催の第65回でポスター発表にエントリしていたのですが,CoVID-19の爆発的感染で発表ができなかったために,第66回(オンライン)の中でバーチャルポスター発表という形で発表されました.なお,本研究は昨年度から開始した農学部との連携プロジェクトの中での最初の発表となります.

  • 宅野亮,大石征裕,新藤明日佳,新村毅,藤波香織.“ニワトリの集団行動理解のためのセンシングとデータ処理”,情報処理学会UBI研究会第66回研究発表会,2020.5.25.

2020年度スタート

本年度は,博士後期課程3名,博士前期課程9名,学部4年5名,研究生1名,秘書1名の体制で研究を進めていきたいと思います.

祝卒業(修士5名,学士5名)

当研究室より5名の修士(大月,片山,川戸,豊増,前原)と5名の学士(青木,河合,国方,宅野,氷見)が卒業しました.学部生のうち青木,国方,宅野は生物システム応用科学府(BASE )生物機能システム科学専攻 博士前期課程に進学します.

対外発表(インタラクション2020)

情報処理学会シンポジウム「インタラクション」にて修士2年の大月さんが下記のオンラインデモ発表を行いました.

大月理沙,藤波香織;“CrosSI:作業領域拡張のための水平・垂直タッチディスプレイ連携機構”,情報処理学会インタラクション2020 インタラクティブ発表,2020年3月11日.

対外発表・受賞(第82回情報処理学会全国大会)

情報処理学会第82回全国大会(CoVID-19によりオンラインでの開催)にて以下の5件の発表を行い,川戸君が学生奨励賞を受賞しました.2010年に初めて受賞者が出てから22件(21人)目です.

  • 半谷千尋,藤波香織;“公共空間における誘目性が高い情報投影機構”,第82回情報処理学会全国大会,4ZB06,2020年3月6日.
  • 高橋リサ,川戸美輝,藤波香織;“フレーム間差分に着目したイラストレーションメイキング動画のキーフレーム要約”,第82回情報処理学会全国大会,5ZC01,2020年3月6日.
  • 高橋リサ,藤波香織;“イラストレーションメイキング動画における注目箇所の効率的な探索システム”,第82回情報処理学会全国大会,5ZC02,2020年3月6日.
  • 豊増聖実,藤波香織;“要素行動の含有度合いを用いたゼロショット行動認識手法に関する研究”,第82回情報処理学会全国大会,6R08,2020年3月7日.
  • 学生奨励賞:川戸美輝,藤波香織;“音響センシングを用いた任意平面に対するジェスチャ入力”,第82回情報処理学会全国大会,6ZB08,2020年3月7日.

農工融合研究プロジェクトに採択(野生動物AI)

東京農工大学内 農工融合研究支援制度(通称TAMAGO)に,藤波が分担者として参加する研究「野生動物に関する情報のAIを用いたデータ解析手法の開発」(代表:小池伸介 農学研究院准教授)が採択されました.(産学連携室による紹介

藤波班は,これまで人間を対象として培ってきたウェアラブルセンサによる行動認識技術を用いて野生動物の行動認識に協力し,人間と野生動物の共存に貢献することを目指します.

修論・卒論審査会

次の修士論文5件と卒業論文5件の発表が行われ審査に合格しました.

修士論文

  • 大月理沙:作業領域拡張のための水平・垂直タッチディスプレイ連携機構に関する研究
  • 片山奈津季:集団によるWebページ閲覧と会話情報を用いた興味トピック分布の推定に関する研究
  • 川戸美輝:音響センシングを用いた任意平面に対するジェスチャ入力に関する研究
  • 豊増聖実:要素行動の含有度合いを用いたゼロショット行動認識手法に関する研究
  • 前原啓太:先導ロボットとの共存を目的としたユーザの心理的影響に関する研究

卒業論文

  • 青木達志:先導ロボットとの共存を目的としたユーザの心理的影響に関する研究
  • 河合美香:犬の皮膚病早期発見のための装着型痒み行動認識システムに関する研究
  • 国方詩織:睡眠習慣の意識付けのための情報提示手法の研究
  • 宅野亮 :鶏の共起行動分析のための行動監視システムに関する研究
  • 氷見雄介:マラソンランナーのためのウォーミングアップ支援に関する研究

論文採択(Sensors and Materials)

M1の齋藤君の論文が論文誌(Sensors and Materials)に採録されオンラインで公開されました.[Online]

  • Mitsuaki Saito and Kaori Fujinami, Unknown On-Body Device Position Detection Based on Ensemble Novelty Detection, Sens. Mater., Vol. 32, No. 1, 2020, p. 27-40.
Ensemble Novelty Detectorの構成

機械学習において分類や回帰問題で威力を発揮しているアンサンブル手法を新規性検出(Novelty Detection)という技術への適用法を提案しました.S個のNovelty Detectorの判定により最終的な新規性の判定を下しますが,その際に単なる多数決ではなく,訓練データから最適な判定閾値を決定する手法を提案しています.

これによりスマートフォンの未知の持ち運び場所の検出を単体のNovelty Detectorより高精度に行うことが出来ます.また,一般的な分類問題で既知クラスの判定を高精度に行うための前処理として未知クラス除外を行うようなケースにも利用可能と考えています.

対外発表(GCCE’19)

10/15-18に大阪で開催されたGlobal Conference on Consumer Electronics (GCCE’19)にて以下の発表を行いました.

  • Mitsuaki Saito and Kaori Fujinami; “Evaluation of Novelty Detection Methods in On-Body Smartphone Localization Problem”, In Proceedings of the 2019 IEEE 8th Global Conference on Consumer Electronics (GCCE 2019), pp. 470-474, 16 October, 2019.
  • Trang Thuy Vu and Kaori Fujinami; “Examining Hierarchy and Granularity of Classifiers in Compatibility-based Classifier Personalization”, In Proceedings of the 2019 IEEE 8th Global Conference on Consumer Electronics (GCCE 2019), pp. 553-554, 16 October, 2019.

UbiComp’19にて発表します.

以下の論文を9/9から9/13までロンドンにて開催されるUbiComp’19にて発表します.デモビデオは【こちら】.

  • Kaori Fujinami, Mami Kosaka, and Bipin Indurkhya; “Painting an Apple with an Apple: A Tangible Tabletop Interface for Painting with Physical Objects”, Proceedings of the ACM on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologies (IMWUT), Vol. 2, Issue 4, Article No. 162, December 2018. (link)

対外発表&受賞(PICom)

福岡(博多)で8月5〜8で開かれた2019 IEEE International Conference on Dependable, Automatic and Secure Computing (DASC), Pervasive Intelligence and Computing (PICom), Cloud and Big Data Computing (CBDCom), and Cyber Science and Technology Congress (CyberSciTech)において以下の2件のポスター発表を行いました.

  • Mitsuaki Saito and Kaori Fujinami; “Extensible On-Body Smartphone Localization: A Project Overview and Preliminary Experiment”.
  • Kaori Fujinami, Trang Thuy Vu, and Koji Sato; “A Framework for Human-centric Personalization of Context Recognition Models on Mobile Devices”.

また,藤波がBest Poster Awardを受賞しました.